第29講●語彙(単語)を増やすことの重要性
文章の表現力とは何でしょう。
数多くの単語を使いこなす能力であるとは言えないでしょうか。
射撃にたとえてみます。
ターゲットは読者です。
あなたは、文章という銃を使って読者の心を
効果的に打ち抜かなければいけません。
銃とは文章であり、文法です。
そして、弾丸がすなわち単語です。
たくさんの単語を打ち出すことができなければ、
どんなに良い銃を持っていても、意味がありません。
そう、弾丸である単語が不足していては、
ターゲットを打ち抜くことは困難なのです。
●三島由紀夫に学ぶ
では、単語力をつけるにはどうしたら良いでしょうか。
某女性作家が修行時代に著名な文筆家たちに、
「どんな本を読んだら勉強になるか」と聞いたときの
答えが残っています。出典は忘れてしまいましたが。
その中で強く印象に残っているのは三島由紀夫の答えです。
三島作品の特徴を挙げると、
明治から続く「美文調」の最後の文学だと言えます。
文学史の話になってしまうので詳しくは述べませんが、
三島作品には、絢爛豪華な二字熟語での修辞が多いです。
たとえば、「清冽」「静謐」などの熟語を
好んで使用する傾向があります。
三島がそのような修辞を多用するようになった理由は、
法学畑の出身だからと言えるのではないかと思います。
法律を学ぶには法律用語の理解が必須であり、
用語の意味を他人にも説明できるレベルまで把握しておかないと、
法学を習得することはできないからです。
実は、この「用語の理解」こそが文章力の鍵を握ることなのです。
三島由紀夫が勧めたのは、「辞書を読むこと」でした。
法学畑の人間らしい回答だと思います。
法学は辞書のような六法を読みこなし
理解するところから始まるからです。
文章を理解し読みこなすには、「用語の理解」が欠かせません。
「辞書を読むこと」で新たな単語を知ることができ、
知っていると思っていた単語の勘違いに気づくことができます。
ある思想や物を表現するには、その思想を表す「単語」が必要です。
「概念」とは、かならずそれを表す「単語」と対になっているのです。
つまり、「単語」を増やすことで、
あなたの中の「概念」自体を増やすことができます。
●表現は単語と対になっている
簡単に言い換えてみましょう。
表現とは、単語と対になっています。
表現力を上げるとは、単語数を増やすことで解決できる...
ということです。
具体的なアドバイスとしては、
知らない単語やあいまい語・勘違い語は必ず辞書をひいて、
正しい意味を脳にインストールする癖をつけること。
たくさんの単語を知り、また、単語の正しい意味を知ることで、
あなたが使いこなせる言葉が増えます。
銃が多少、錆びていても、弾丸がたくさんあれば
何とかなります。
大変? そんなことはありません。
手元に国語辞典を用意しておくだけですから。
テレビでもネットでも、わからない単語が出てきたら、
すぐに辞書をひきます。
広辞苑じゃなくてもいいですよ。
私は岩波の国語辞典を愛用しています。
また、単語を効果的に増やすには、
「類語辞典」が役にたちます。
こんな面白いサイトを発見しました。
シソーラス検索 ⇒ http://www.gengokk.co.jp/thesaurus/
渋めのサイトですが、ちょっと使ってみてください。
ありがちな表現から頭ひとつ抜け出た表現を、
発見することができるかもしれませんよ。


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